こんにちは、カイです。
この記事では佐々木宏さんの名作キャッチコピーをご紹介します。
佐々木宏さんはコピーライターでもあり、魅力的な広告を世に送り続ける、日本を代表するクリエイティブでレクターでもあります。
ソフトバンクの「白戸家」、サントリーの「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ自動車の「ReBORN」などなど、TVCMでおなじみの企画をたくさん手掛けています。
2016年リオデジャネイロ五輪の閉会式に登場した「安倍マリオ」も、佐々木宏さんの演出だそうです。
そんな佐々木宏さんのキャッチコピーを、ジャンルごとにまとめています。
気になるところからご覧ください。
人生 編
ダメ。ゼッタイ。
(厚生労働省/麻薬・覚せい剤乱用防止センター)
35年以上、麻薬撲滅運動のキャンペーンコピーとして使われています。
また「〇〇。ダメ。ゼッタイ」のように、他のジャンルでも数多く引用されています。
それほど、シンプルかつ強烈な言葉ということですね。
しかしこのコピーについて、批判的な意見や懐疑的な声も上がっているようです。
現在、大麻使用についての法律が変わろうとしています。
時代が変われば、法律や制度が変わるように、コピーも変わっていかなくては、深い溝が生まれるかもしれませんね。
ガツン
(サントリー/ボスセブン)
イッショウ
ケンメイ
ホドホド
ニ。
モット、
ハタラケ。
モット、
ヤスモウ。
(サントリー/缶コーヒーのボス)
ヤナコト、
アッタヒハ、
イイコト、
シヨウネ。
(サントリー/BOSS)
ペコペコ
ナンテ
スルモン
カ。
ニコニコ
ナラバ
スルカモ
ネ。
(サントリー/缶コーヒーのボス)
努力せよ。
(キリンビール/KIRIN)
第一志望は、
ゆずれない。
(駿台予備校)
こちらも35年以上使われているコピーです。
予備校の目的と、生徒の志をそのまま現したことば。
わざわざ表現を凝らなくてもいい。
いろんなテクニックを使う必要もない。
核となることばを、そのまま置く。
それが一番効果的だと学びました。
LOVEで、笑いたい。
(フジテレビジョン/フジテレビ)
結婚しました
なぜだろう
(フジテレビジョン/フジテレビ)
ボクがいる
なぜだろう
(フジテレビジョン/フジテレビ)
人間 編
すべての、
子ども経験者の
みなさんへ。
(STAND BY ME ドラえもん)
コピーでは基本的に、ターゲット(狙う層)を決めます。
ピンポイントにするほど自分ゴト化を狙えますが、そのぶん範囲がせまくなってしまう。
だから不自然なく、幅広い層を狙えることばは、強い。
このコピーもそのひとつですね。
ドラえもんのキャラクターとも相まって、老若男女をふり向かせるコピーになっています。
少年少女は、過去だ。
が、おじいさんおばあさんは、未来だ。
(フジテレビジョン/フジテレビ)
きれいなもの。
きれいなひと。
(カネボウ化粧品/Denali)
デキた上司と飲みたい。と、デキた部下は思うのです。
(サントリー/リザーブ)
かわきもんばっかだと、人間かわくんです。
(サントリー/リザーブ)
デビュー夫人。
(ソフトバンク)
土地 編
京都にはない。
金沢にもない。
あまりになにもない。
だから面白い。
(福井市/一乗谷)
2011年の交通広告グランプリに輝いた『一乗谷 DISCOVERY PROJECT』のコピー。
福井市を自虐的にとらえつつも、自然の写真とセットで見ると、「なにもないからこそ、行ってみたい」と思わせます。
ちなみにこの一乗谷、ソフトバンクのCMで有名な、白戸家の「犬のお父さん」の出身地、という設定だそうです。
ぜんぶ入りの
観光地と、
イメージする
だけの場所。
どちらに行ってみたいですか?
(福井市/一乗谷)
もう一度、
日本を好きに
なってみるのは、
(福井市/一乗谷)
商品-飲み物 編
ボス、のむ。
(サントリー/BOSS)
写真のモデルは矢沢永吉さん。
ブランコに乗ってるだけなのに、超絶しぶいです。
そこに、この4文字。
糸井重里さんの「よろしく。」といい、シンプルな言葉がここまで似合う人は、そうそういない。
デザインとコピーの可能性がわかるポスターです。
180円。
(サントリー/ホップス(生))
生ビール
な、ヤツ。
(サントリー/モルツ)
いま、なにビールを、のんでいると、
いちばん、かっこいいんだろう。
(サントリー/モルツ)
リザーブ
友の会
(サントリー/新リザーブ)
私が、ウイスキーを新しくします。
(なんちゃって)
(サントリー/新リザーブ)
幸福研究所。
(キリンビール/KIRIN)
どこまでおいしくなれるだろう。
(キリンビール/KIRIN)
キリンビールに勝て。
(キリンビール/KIRIN)
ビール・ヌーボー
(キリンビール)
うまいことは、
わかっていた。
(キリンビール/キリン一番搾り)
仕事じゃビールはつくれない。
(キリンビール/キリン一番搾り)
いま、なにが
いちばん
おいしいですか。
(ハウス食品/六甲のおいしい水)
商品-自動車 編
どこでもノア!
(トヨタ自動車/NOAH)
「みんなで乗れて、どこでも行ける」をコンセプトにしたハイブリットカー『ノア』。
この言い回しはもちろん、ドラえもんのひみつ道具「どこでもドア」に掛けています。
TVCMでは実写版ドラえもんシリーズでキャンペーンを展開。
キャストも豪華ですね。
ユーモアとインパクトがあるコピーです。
いいクルマってなんだろう。
(トヨタ自動車)
クルマなんてなくてもいい、と
ある日思った。クルマがあってああよかった、
と次の日思った。
(トヨタ自動車)
人間は、クルマなしでは
生きられないかもしれないけれど、
地球には、僕たちもいます。よろしく。
(トヨタ自動車)
安全なクルマになった。
つまんなくなった。
じゃ、困るよ。
(トヨタ自動車)
当面買う気はありません。
そんなお客さまでも楽しめる。
それが、いいショールームです。
(トヨタ自動車)
いいクルマかどうか、も重要だが、
いいヒトかどうか、も重要だ。
(トヨタ自動車)
あいつ、いいやつだなぁ、
と地球に言われるクルマに
なりたいな。
(トヨタ自動車)
『擬人化』のいい見本となるコピー。
地球をヒトに見立てて、コメントしてるように書く。
そして言外に、環境への配慮もあらわしています。
むずかしい言葉を使わなくても、表現で伝えれる。
こんども
クルマに
生まれたい?
(トヨタ自動車/TOYOTA)
そのクルマ、
いいやつですか。
(トヨタ自動車/TOYOTA)
「あのー、
そのクルマに、
幸福、ついてますか?」
(トヨタ自動車/TOYOTA)
信じられるクルマを。
(トヨタ自動車/MARKⅡ)
商品-その他 編
広告で「生える」とは、言えません。
(ライオン/薬用ペンタデカン)
こちらは育毛剤のコピーです。
広告にはいろいろな規制がかかっていて、特に薬品系はややこしいようです。
「よく効く」はいいけど、「すぐ効く」はダメとか。
人によっては効果が薄いこともあるので、断定する言い方だと角が立つんですね。
なので、「言っちゃいけない」と言うことで、逆説的に言っちゃうというテクニック。
こんなアプローチの仕方も、おもしろいですよね。
頭上最大の作戦
(ライオン/薬用ペンタデカン)
水道代も、物価です。
(ライオン)
説明書を、よくお読みください。
(日立製作所)
広告って、お上手ね。
(日立製作所)
CDはAVどころではないのである。
(日立製作所)
絵は字の母なり。
(日立製作所)
ゴホンといったら
カドカワノベルズ。
よく読んでからご使用ください
(角川書店)
映画に
失礼のないように。
(TDK/シネブラボー)
「ケータイをデザインしよう。」にとらわれず
「みんなの好きなモノをケータイにしよう。」と考えてみる。
(KDDI)
INFOBAR
(KDDI)
企業 編
どこよりも、カンジいい航空会社になろうね。
(北海道国際航空/AIR DO)
クマのぬいぐるみと白背景。
飛行機を体現しているんでしょうね。
めっちゃ目が合います。シュールで、どこか愛らしい。
タグラインの『Simple is』が、よりデザインを際立たせています。
シンプルは強い。
こういう企業が、成功するか、失敗するかで、
日本の将来は決まる、と思う。
(北海道国際航空/AIR DO)
あら、やだ、もう、30年?
(東海旅客鉄道)
あっ、あっ、あっ、という間、だったね。
(東海旅客鉄道)
もっと。
(東日本旅客鉄道)
フジテレビが、いるよ。
(フジテレビジョン/フジテレビ)
フジテレビを見なくても生きてはいける
(フジテレビジョン/フジテレビ)
テレビに飽きたらフジテレビ
(フジテレビジョン/フジテレビ)
不意のお客様にフジテレビ。
(フジテレビジョン/フジテレビ)
フジテレビを見て
泣くやつがあるか。
(フジテレビジョン/フジテレビ)
エイズって、
やんなっちゃう。
—市民A
(フジテレビジョン/フジテレビ)
働けど、働けど、
ボクんち、せまい。
—市民B
(フジテレビジョン/フジテレビ)
いっそ、
たけしを首相に。
—市民D
(フジテレビジョン/フジテレビ)
がんばるな、
ニッポン
—市民E
(フジテレビジョン/フジテレビ)
政治を、
オープンにします。
(自由民主党)
まとめ:「時代の変化」と「言葉の責任」
いかがでしたでしょうか。
見たことがあるコピーや、ユーモアあふれる表現がたくさんありましたね。
またCMの担当歴は、ソフトバンクの白戸家は13年間、サントリーのBOSSは27年間、トヨタ自動車は33年間など。
参考:電通・シンガタ・連で数々の広告を手がけてきた佐々木宏氏
クリエイティブディレクターとコピーライターの両面で、広く長くご活躍されています。
しかし過去に積み上げてきた輝かしい実績が、ある日、一瞬で崩れおちてしまいました。
東京オリンピック・パラリンピックにて、開閉会式の演出を総括する佐々木宏さんについて、こんな報道が。
2021年3月17日、文春オンラインによって、佐々木が式典に出演予定だった渡辺直美の容姿を侮辱するような内容の演出をグループLINEで提案していたことが明かされた。これを受け佐々木は3月18日未明、五輪組織委員会を通じて謝罪文を公表した。同日、組織委員会の橋本聖子会長は佐々木の辞任を発表した。
——Wikipedia より引用
具体的なLINEの内容はこちら。
◎=渡辺直美
への変身部分。
どう可愛く見せるか。オリンピッグ●
歴史を振り返るというより、過去
大会ハイライトシーンを、
どうワクワクする様に見せるか。
(註・◎=ブタの絵文字、●=ブタ鼻の絵文字)
これに対して、佐々木宏さんは謝罪文を公表しています。
「あと数ヶ⽉に近づいたオリンピック・パラリンピック開閉会式を⽇々死にものぐるいで準備するメンバーにも、本当に申し訳ない気持ちです。(中略)ふだんは、⾃分では、多様性、ジェンダー問題、そして、容姿などを揶揄して⼈を傷つけてはいけないと⾔うことには、気をつけているつもりでしたが、このようなことで、それがとんでもない勘違いで、⾃分の意識の低さ、無神経さにあらためて、気づいた次第です。」
おそらくちょっと前の時代であれば、ひと笑いが起こる、おちゃめなアイデアだったのでしょう。
しかし、ジェンダー平等が世界的に問題視されてる中では、このようなアイデアを発言するだけでも悪手となり、敵を作ってしまいます。
佐々木宏さん自身は、「これで彼女がチャーミングに見えると思った」とコメントされておりますが、時代の感覚がズレていると捉えられても仕方がありません。
またこれが、一般人のLINEのやりとりだったら、こんなに大きな問題とはならなかったでしょう。
五輪パラ演出を総括する立場での発言だったからこそ、ありえないということですね。
「時代の変化」と「言葉の責任」
今後はこのふたつの見方が、より厳しくなるはずです。
そう思うことがあるかもしれません。
しかし少なくとも、言葉をあつかう仕事をしている以上、言葉のプロとしては、目を背けてはいけない問題だと思います。
言葉を発する際は「本当に大丈夫か?」と1回STOP。
その意識を持つだけでも、危険を回避できるはずです。
ちょっとずつ定着させて、時代にあった感覚を身につけていきましょう!