こんにちは、カイです。
この記事では一倉宏さんの名作キャッチコピーをご紹介します。
コピーライターとして数々の名作を世に生み出し、TCC最高賞など多数受賞されている一倉宏さん。
コピーだけではなくコマーシャルソングや作詞なども、幅広く手がけています。
一倉宏さんはコピーを作る際に、【①利用者 ②客観的 ③擬人化】の切り口から考えを広げるそうです。
これらの視点で想像しながら見ると、より深く学べるかもしれません。
ジャンルごとにまとめているので、気になるところからご覧ください。
時代 編
IMAGINE THE FUTURE.
(筑波大学)
一倉宏さんは、筑波大学の1期生として入学されています。
2010年、筑波大学は理念を表すスローガンを作ろうとしていて、その話を聞いた一倉宏さんが、「私が手伝います」と申し出たそうです。
そして筑波大学の原点を見つめ直して作られたのが、このコピー。
それに呼応して「未来構想大学」というコンセプトも生まれたようです。
コピーで恩返し。すてきですね。
こんにちは、未来くん。
そちらはどうですか。
(毎日新聞社)
みらいって いつくるの
(積水ハウス)
どこまで行ったら、未来だろう。
(ソニー/WALKMAN)
20世紀のおみやげに。
光と音のウォークマン。
(ソニー/WALKMAN)
20世紀に、置いてゆくもの。
21世紀に、持ってゆくもの。
(シャープ/ウィンドウ)
20世紀に、何を見ましたか。
21世紀に、何を見たいですか。
(シャープ/ウィンドウ)
さあ、液晶世紀へ。
(シャープ)
合言葉は、ダイジョウブカ?
21世紀大丈夫化計画。
(三菱電機)
日本は、
もういちど、
試される。
(トヨタ自動車/ReBORN)
愛情 編
愛に雪、
恋を白。
(東日本旅客鉄道/JR SKISKI)
『愛・雪・恋・白』の漢字4文字をメインにして、スキーキャンペーンを完璧にブランディング。
「ダジャレではなく、掛詞。確信犯的に強く打ち出しました」とコメントされています。
このコピーを見て、「好きだ、感動した」という若者も多く、当時は文字だけのポスターが盗まれることもあったらしい。
1本の映画を妄想できるくらい、濃密なコピーですね。
参考①:「愛に雪、恋を白」で、全身に電流が走った!あの名コピーが生まれるまで
参考②:幼児化する文化も要因
CMバージョンはこちら。曲は『GLAY - Winter,again』。
サビの「逢いたいから、恋しくて」という歌詞は、コピーともベストマッチ。
ミリオンセラーにもなった曲でもあり、理想的なキャンペーンソングです。
あなたから、幸せになってください。
(岩田屋)
いじわるは、
少年のI LOVE YOUでした。
(岩田屋)
泣き虫は、
少女のI NEED YOUでした。
(岩田屋)
ごめん。もう、本命しか、いらない。
(パルコ)
一生モノの、ウェディング。
(リクルート/ゼクシィ)
愛してる人と、ピーしてる。
(アステル東京)
人生 編
いい空は青い。
(全日本空輸)
すがすがしいほど真っ青な空に、シンプルな白い文字。
そして挑戦的で、情熱的なボディコピー。
「人の想像力を駆り立てるつもりで作った広告。クリエイティブに対するセンスと理解がある企業だからできた」と一倉宏さんもコメントされています。
見ているだけで、心が清々しくなってくる広告です。
はたちを過ぎたら21。
(サントリー/サントリーウイスキー21 ライト&スムーズ)
みんな、百まで、生きようぜぃ。
(サントリー/サントリーQ)
スカートも哲学書も、
めくるのは十代だった。
(サントリー/ローヤル)
童貞と天才は、十代の夏に捨てられる。
(サントリー/「世界の有名画家」10代の作品展)
40代は、きかない年頃
(資生堂)
いえなかった言葉たちは、
どうしていますか。
(NTT)
絵日記が、きっと、胸を張る。
(東日本旅客鉄道)
メールじゃ会えない、レールで会おう。
(東日本旅客鉄道)
「ただいま」と
「いってきます」のあいだにある、
この時間が、私は好きだ。
(積水ハウス)
合格して、飛びあがるほどよろこんで、
ちょっとさびしくなる。
(積水ハウス)
頑張って、といい、
頑張りすぎないで、と思う。
(三共/リゲインEB錠)
憲法第二十二条には
「職業選択の自由」と
書いてある。
(学生援護会/Salida)
人間 編
きれいなおねえさんは、
好きですか。
(松下電工)
こう聞かれてNOと答える男性が、この世にいるでしょうか。(反語)
「あの時は、もっと広い視野でみてみようと思ったんです」とコメントされています。
子どもからお年寄りまで、女性すらも虜にする、魅力的なコピーです。
15年以上つづいたロングラン広告。
当時のキャッチフレーズ認知率は9割越えでした。
こちらはCMバージョンです。
松嶋菜々子さんがどセクシーすぎて、ドキドキします。
ちなみに、歴代の「きれおね」は以下の通りです。
初代:水野真紀さん
二代目:松嶋菜々子さん
三代目:片瀬奈々さん
四代目:中谷美紀さん
五代目:仲間由紀恵さん
たるんだ私を許さない。
(資生堂)
ライバルだった、友だちは。
(資生堂/IN&ON)
もしも、
女性に魅力がなかったら、
人類は、
この先どうなるでしょう。
(ポーラ化粧品)
けれども、君は永遠じゃない。
(パルコ)
にんげん、岩田のつもりです。
(岩田屋)
アタマのキレイなひと。
(講談社/フラウ)
どうして、みんな、
馬鹿のふりして生きているのだろう。
(小学館/SAPIO)
どうして、僕たち、
アホのまねして笑っているのだろう。
(小学館/SAPIO)
私は、ドライではありません。
(サントリー/サントリーモルツ)
欲しがる男には、勝てません。
(サントリー/バレンタイン・ベイビーズ)
消せない男。
(JT/セブンスター・ボックス)
音が進化した、人はどうですか?
(ソニー/WALKMAN)
この駅で君と待ち合わせて
(ユナイテッドアローズ/グリーンレーベルリラクシング)
理性の理の字を、喪失しました。
(写真展「幻視」実行委員会)
はじめてを、くりかえして、
大人になるのだろう。
(東日本旅客_道/MY FIRST AOMORI)
私だって、
日本経済を支えているひとりなんだから、
もうすこし、幸せにしてほしい。
(学生援護会/Salida)
家は、太陽光で発電して。
私は、月の光で充電します。
(積水ハウス)
家族 編
わが家、見なおし隊。
(パナソニック)
「リフォームしたい、わが家を見直したいな」というお客さまのきもちに沿えて、『見なおし隊』とネーミングされたそうです。
マークやジャンパーもつくって、リフォームのブランド力をUP。
ニーズのど真ん中をくみ取りつつ、覚えやすいチャーミングな名前ですよね。
子が親離れするころ、
親は、その親のことを想う。
(積水ハウス)
さすがに、母は、
母親としての先輩だった。
(積水ハウス)
君は何才まで、
一緒に入ってくれるだろうか。
(東京ガス/お風呂の日広告)
ぼくは、おとこどうしで、はいりたいから、
はやくかえってきてください。
(東京ガス/お風呂の日広告)
むこう側から見たら、
こんな顔してるよ、きっと。
(東京ガス)
むすめのはだかは、
しまっておきたい。
(東陶機器/シャンプードレッサー)
いつも、仕事の日や、
家族の日ばかりだから、
父の日ぐらい、
パパの日にしてあげたい。
(岩田屋)
父も母も素敵でした。
(サントリー/ビール)
商品 編
うまいんだな、これがっ。
(サントリー/サントリーモルツ)
ビールのCMなのに、小さい子どもがジュースを飲んで「うまいんだな、これがっ」と言っていたそうです。
日常に溶け込んで、老若男女関係なくだれでもマネしたくなる言葉って、コピーとして理想ですよね。
一倉宏さんの代表作とも言えるコピー。
こちらはCMバージョンです。
ほんっとうにおいしそうですよね〜。
ウイスキーの中には、
俺の独立国がある。
(サントリー/ウイスキー)
ウイスキーを古いと言う
あんたが古いぜ。
(サントリー/リザーブ)
ウイスキーをオヤジと言ったのは誰だ。
(サントリー/リザーブ)
ウイスキーがカッコよくなくて、
何がカッコいいんだ。
(サントリー/リザーブ)
科学では説明できないことだけど、
それが大人の味というものです。
(サントリー/サントリーオールド)
アカレゼルブ、シロレゼルブ、ロゼレゼルブ。
(サントリー/サントリーレゼルブ)
今日はウチ メシ ワインの日。
(サントリー/サントリーレゼルブ)
エンディングまで、泣くんじゃない。
(MOTHER)
夢よ、もう1階。
(積水ハウス/積水ハウスの3・4階建て)
リビングは、環境です。
(シャープ)
SILENT SMOKE.
(JT/セブンスター・ボックス)
I らしく、SEIKO。
(SEIKO/NOIE)
企業 編
あなたと、コンビに、
(ファミリーマート)
TVCMでもおなじみの軽快なリズムを、一度は聴いたことあるのでは。
コンビニ業界では初めて、特許庁から『音商標』として登録を認められた、コーポレートメッセージだそうです。
ちなみにこのコピーは、サラッと書いてできたとのこと。
「当時の若者たちが『コンビニ』と呼びはじめて、これだなと」
偶然の産物というよりも、経験の積み重ねで生まれた名コピーだなぁと思いました。
まだ、ここにない、出会い。
(リクルート)
すべての人生が、
すばらしい。
(リクルート)
imageする会社。
(FUJI FILM)
冬の列車は、旅のこたつ。
(東日本旅客鉄道)
普通列車の、普通が好き。
(東日本旅客鉄道)
FOODは、風土だ。
(東日本旅客鉄道)
クイズ。日本海と太平洋の幸、
どちらもある県は?
(東日本旅客_道/MY FIRST AOMORI)
この惑星に、水をつくる工場はない。
「デハ、ドコデツクルノデスカ」と聞いたら、
「それは、森だよ」という。ハテナ?
(サントリー)
家に帰れば、積水ハウス。
(積水ハウス)
2010年、積水ハウスが50周年を迎えるのを機につくられた、コミュニケーションワード。
「特に設定などを決めず、自分自身の経験も踏まえて、生活者の目線で書いています」とコメントされています。
人生のあらゆることが、コピーのヒントなんですね。
勉強になります。
まとめ:ことばを信じる
いかがでしたでしょうか。
有名どころから隠れた名作まで、心にグッとくるコピーが、たくさんあったと思います。
どうやったら、このような数々の名作をつくれるようになるのか。
その秘密は、一倉宏さんのコピーへの信念から見えてきます。
どのような場でも「ことばを信じる」ことは貫きたいと思います。広告のコピーは第一義的にビジネスには違いないけれど、ことばに対する想いは、ただのビジネスのものではないつもりです。
——一倉広告製作所 より引用
また一倉宏さんの著書『ことばになりたい』のあとがきにも、このように綴られています。
広告のコピーは、いうまでもなく「ビジネスのことば」です。結果を導きだすためのものです。しかし商品の購入という結果の手前には、かならず好意や親愛といった「情」の入り口があると考えます。だとすれば、私たちが日々の「ことば」に託しているものとそれほど違わないのではないでしょうか。
——『ことばになりたい』あとがき より引用
人が商品を買うのは、「便利だから」という表面的な理由だけではありません。
便利になることで得られる「うれしい・たのしい」を想像したり、そもそもの商品や企業の『想い』に共感して買うんですね。
ひとつひとつの言葉を大切にしながら、コツコツ成長していきましょう!