こんにちは、カイです。
この記事では『コピー年鑑2006』から選出したマイベストコピーを10本ご紹介します。
というのも、コピーライターである黒澤晃さんの著書『これから、絶対、コピーライター』には、このようなことが書かれています。
さて、いちばん始めにやっていただくのは、コピーの名作を知ることです。ずばり、おすすめはTCCコピー年鑑の閲覧です。
(中略)
大切なのは、ただ閲覧するだけではなく「マイベスト10」を選んで、書き写しておくことです。
(中略)
とても重要なファーストステップですので、省かずにやっていただきたいと思います。あとの成長が本当に違ってきます。
——『これから、絶対、コピーライター』より引用
前回は『コピー年鑑2005』でやってみました。
その年のさまざまなコピーに触れることで時代を知り、コピーの型を学び、悩みながら選ぶことで、コピー目とコピー脳がとても鍛えられたと実感しています。
そして今回は『コピー年鑑2006』を中古で購入(508円)。
マイベスト10を選び、アウトプットも兼ねて記事にしましたので、興味のあるところからご覧いただけると嬉しいです。
目次
01:ロケットも、文房具から生まれた。
発見のあるキャッチコピー+文房具の価値観を上げるボディコピー。
特にこの、文房具をただのツールではなく、パートナーとして位置付けてるボディコピーが大好きです。
デジタル化がどんどん進む現代では、文房具を使う人もすくなくなっていますが、それでも読み手に温もりと絆を与えるメッセージだと感じます。
「僕の机の上では、常時、削りたてピカピカが20本以上並んでいて、がんばれ、負けるな、くじけるなと、孤独なコピーライターを集団で応援してくれるのです。」
岩崎俊一さんの受賞コメントが、鉛筆、ひいては文房具への愛を物語っています。
小さくなった鉛筆をロケットに見立てたデザインも、発見があって大好きです。
02:あんなに社員につめたい企業が、地球にはやさしくしているという。
あんなに社員に
つめたい企業が、
地球にはやさしくしているという。
(環境ワンダーランド/佐藤司郎)
2000年代はエコブームのひとつのピークと言われています。
さまざな企業が「環境に優しく&地球を守ろう」といった意識で取り組んでいました。
では、毎日頑張ってくれてる社員には?
その実態をストレートに表現したパンチのあるコピー。
仲畑貴志さんは「思いあたる企業を数えてみたが、途中でヤになってやめた」とコメントされています。
現代ではSDGsがマストとされていますが、同じことが言えそうです。
地球にも社員にも優しい会社で働きたいですね。
03:夫婦のつぎは、何になろう。
夫婦のつぎは、何になろう。
(月桂冠/吉澤到、内藤まろ、やまだないと)
友人→恋人→夫婦となったら、ここが最終地点だと思っていました。
でもさらにその先を考えることで、もっとステキな関係になれそうですね。
もちろん離婚とかのネガティブな”つぎ”ではなくて。
それぞれの夫婦に、それぞれの答えがあるんじゃないかなぁと。
発見のあるワクワクするコピーです。
ひとつの言葉で決めつけないで、受け手に委ねているのも、夫婦で話すきっかけを作っていていいなぁと。
04:水彩画を描くように、サラダをつくる。
水彩画を描くように、サラダをつくる。
(キユーピー/秋山晶)
「Aのように、Bをする」というコピーの型はよく使われますが、そのAがいままでにない表現かつオシャレ&渋いんですよね。
もちろん表現だけに頼らず、本質も捉えているのは言わずもがな。
キユーピーと50年以上仕事を続けている秋山晶さんにしか出せないオリジナリティとブランド力。
しびれます。本当にかっこいいなぁと。
自分も憧れてマネしてみますが、ぜんぜん上手く書けません。精進します。
05:コマの力かありかたい
コマの力かありかたい
(サントリー/古居利康)
「濁点ってなんかゴマに似てない?」という柔軟な発想&発見がお見事。
パッと見で「え?何これ」と感じさせるキャッチ力もありつつ、ただの言葉遊びで終わらずにこの商品の本質もしっかり伝えています。
デザインとコピーがかけ算になっているプロの仕事だなぁと。
日常にあるあたりまえのモノでも、いろんな角度で見れば新しいモノになると教えてくれるコピーです。
実際に声に出して読んでみました。力がぜんぜん入りません。この仕掛けもオモシロイです。
06:あと一球と思ってから、もう30分たっている。
あと一球と思ってから、
もう30分たっている。
(ニューバランスジャパン/関陽子、熊埜御堂由香)
スポーツをやってる人なら共感する人も多いのではないでしょうか。
「納得いかない」「妥協したくない」「上手くなりたい」
こういうアツい気持ちがフツフツと伝わってきますね。
“一球”や”30分”という数字を使っているのも、より具体性を出すポイントかと。
ボディコピーもスポーツをする人と真摯に向き合っていて、応援されている感じがします。
スポーツへの情熱を具体的なシーンとして表現したコピーです。
コピーライターだったら「〆切までもう1コピー!」という感じですね。アツい。
07:お父さん、休日をズル休みしないでね。
お父さん、休日をズル休みしないでね。
(富士サファリパーク/黒澤仁)
仕事ばかり優先して、家族のことは後回し。
せっかく遊びに行く約束をしたのに、急な仕事で反故にされる。
仕事はズル休みなんてしないのに、休日はズル休されちゃう。
そんな悲しい子どもたちの声を代弁したコピーです。
「お父さん」とターゲットを明確にしているのもポイント。
ドキッとしたお父さん、つぎの休日には子どもとお出かけしましょう。
あるあるネタは共感されやすい&刺さりやすいので、日頃からストックしておくといいかもです。自分もストックしてます。
08:万引き危険!
万引き危険!
(大洋書店/中尾孝年)
「万引きするな!」という注意書きはよくありますが、どうしても他人事になって効き目が薄い。
でもここまで言われたら、自分に危険がおよびそうでヤバいって躊躇しちゃいますよね。
空手、柔道、ラグビー相手なんて絶対勝てませんよ。
逆転の発想、大胆でインパクトのあるコピーだなぁと。
ただ万引き犯が改心するわけじゃないですし、「じゃあ別の店でやろ」ってなりそうですが。
なので自分は、「万引き犯になるな」という2021年のコピーライター養成講座CMのほうがより好きです。
時代に合わせて言葉も進化するなぁと実感しました。
09:みんな、本当の自分を探しながら、生きている。
みんな、本当の自分を探しながら、生きている。
(とらばーゆ/中澤昌樹)
適職診断で自分探し→みんな自分を探している→みんなどんな不満があって自分探しをしてるんだろう
こんな流れでつくったのかもしれません。逆算して想像するのもコピートレーニングのひとつです。
自分探しの本音をたくさんかき集めて、ラジオCMだからイメージを大切にして、それに合いそうなモノを擬人化。
これがただの女性が愚痴ってるだけならフツーですからね。それにしてもチョイスがオモシロイ。
「明日のワタシは、ちょっと楽しい。」のコピー通り、ちょっと楽しい気持ちにさせるラジオCMです。
このフォーマットはいろいろと応用できそうだなぁと。メモメモ。
10:落ち葉を”ゴミ”という子にだけは、育てたくない。
落ち葉を”ゴミ”
という子にだけは、
育てたくない。
(ガールスカウト日本連盟/大野政仁)
風情の見え方というか、自然への接し方というか、デジタル時代になって失われてつつある感性を大事に育みたいと思えるコピーです。
ハッと気づかせる力がありますね。
頭で考えるだけじゃなく、よく観察しないと出てこない種類のコピーです。
こういう観察眼を磨いていきたいですね。
シンプルに、こういう子どもが増えたらいいなぁと思っちゃいます。
まとめ:どんなコピーが好きか見えてきました
いかがでしたでしょうか。
今回もものすごく悩みましたし、時間がかかりました。ほかにも好きなコピー100本くらいあります。
でもベスト10を選ぶことで選ぶ力を磨けますし、自分がどんなコピーが好きなのかも見えてきました。
ひとつひつとつのコピーをしっかり味わことができて、とても楽しかったです。
これを続けていけば確実にコピー力がアップしますね。
またほかのコピー年鑑でもマイベストコピー10を選んでみたいと思います!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ぜひあなたも、あなた自身のベストコピー10を選んでみてください。