こんにちは、カイです。
この記事では岩崎俊一さんの名作キャッチコピーをご紹介します。
コピーライターの中でも群を抜いて、さまざまな企業メッセージを手がけた岩崎俊一さん。
2014年12月20日、享年67歳で他界されましたが、遺された数多くのコピーは、いまなおたくさんの人に愛され続けています。
「コピーとは、『作る』ものではなくて、『見つける』もの」と語っており、そのような視点で見ると、想いの深さがより分かるかもしれません。
ジャンルごとにまとめているので、気になるところからご覧ください。
幸福 編
会う、贅沢。
(西武百貨店)
コロナの影響で、かんたんに会うことができない現在。
1983年に生まれたこちらのコピーを、もう一度思い出したい。
これからも長い間、会えない時期が続くかもしれません。
だからこそ、会えるときは、その時間をいつもより大切に、いつもより愛おしく過ごしたいですね。
6文字で、これほど深い意味を持たせるコピーは、そうそうありません。
圧巻です。
ひとの、幸。
(西武百貨店)
なんでも持っている人に、
それでもあげたいのは健康です。
(そごう・西武百貨店)
毎日使うものを
あげると、
その人の人生に
貢献できると思った。
(そごう・西武百貨店/オリーブを贈る西武のお中元)
あなたがいてくれて、ありがとう。
(日本財団)
あなたは私の異国です。
(パルコ)
あなたに会えたお礼です。
(サントリー/サントリーウイスキーの贈りもの)
ぼくが、
一生の間に会える、
ひとにぎりの人の中に、
あなたがいました。
(サントリー/ローヤル・お歳暮)
自分の欠点を人と一緒に笑えるのは、
その人の長所です。
(セゾン生命保険)
負けても楽しそうな人には、
ずっと勝てない。
(セゾン生命保険)
話された言葉の向こうには、
本当に言いたかったことが
いっぱい眠っている。
(ソニー生命保険)
人は貧しいという理由で
死んではいけない。
(日本フォスター・プラン協会/フォスター・ペアレント募集)
仕事は人を幸せにできる。
(トヨタ自動車/ウィンダム)
フルコースは、
前菜から始まり散歩で終わった。
(藤田観光/HOTEL 椿山荘 TOKYO CHINZANSO)
きゅうくつは、うまい。
(東京新聞)
人が少ない場所に住むと、
人を想う時間が長くなる。
(フジテレビ/ドラマ「優しい時間」)
幸せな人は、やりた
いことがある人だ。
(Club willbe)
人生 編
人生は、
冬ではなく、
春で終わりたい。
(介護付有料老人ホーム『ヒルデモア』)
しんしんと冷える冬
どこかさびしげな冬
草木が枯れ 動物も眠る冬
それよりも
ぽかぽかと暖かい春
にぎわいをみせる春
草木が生い茂り 動物も起き始める春
もしそこで人生を終われるなら
きっと幸せだろうなぁ
そんなことをしみじみと考えるコピーです。
無鉄砲という武器を、
あんたにあげよう。
(小学館/ビッグコミック)
21世紀に間にあいました。
(トヨタ自動車/プリウス)
英語を話せると、10億人と話せる。
(ジオス/英会話のジオス)
朝、めざめたら、疲れていた。
何の為の睡眠だったのだろう。
(タケダ/アリナミンA)
音楽を聴いている。
ぼくは生きている。
(ソニー/ウォークマン&カセット)
君の前で歌いたい。
僕の前で聴いてくれ。
(ソニー/リバティ)
聴こえてくるのは、いのちです。
(ソニー/ディスクマン)
雨の日の
記憶は
濃い。
(積水ハウス)
花を育てるようになると
雨が好きになる。
(積水ハウス/シャーウッド)
バーゲンに行くと
生きてる気がする。
(西武百貨店/’95冬市)
「残りもの」
は嫌い。
「最後のひとつ」
は好き。
(そごう・西武百貨店/そごう冬市)
各人停車。
(西武百貨店)
夏は、交差点。
(西武百貨店)
苦労させて、あげましょか。
(サントリー/サントリーオールド)
テレビは娯楽。ここは極楽。
(サントリー/サントリーオールド)
さしあげたのは、時間です。
(サントリー/サントリーウイスキーの贈りもの)
バケーションを、ありがとう。
(サントリー/サントリーウイスキーの贈りもの)
あなたのそばが、いちばん遠い。
(サントリー/リザーブ)
一度、ふられていらっしゃい。
(サントリー/サントリーオールド)
人間 編
美しい50歳が増えると、
日本は変わると思う。
(資生堂/アクテアハート)
少子高齢化社会がとまらない日本。
このコピーが書かれた1997年には、その流れがゆるやかに始まっていました。
もしかしたらこのコピーは、それを受けて書いたのかもしれません。
時代を的確にとらえて、前向きな提案をコピーで表現。
企業×時代×言葉のかけ算でつくられた、説得力のあるコピーです。
ちなみに、11年後の2008年には、『美魔女』という言葉が生まれました。
ちょっとした予言のように感じますね……
メイクをした顔が、
自分のほんとうの顔
だと思う。
(西武百貨店/スタイリッシュライフカレッジ)
顔を変えるより
髪を変えるほうが、
顔は変わる。
(西武百貨店/スタイリッシュライフカレッジ参加者募集)
ひとは、引力。
(西武百貨店/西武のお歳暮)
夏の私は、
衝動物である。
(そごう・西武百貨店)
少女は無口になった。
夏の終わりだった。
(パルコ)
むね上げ。
むねがこみあげる日、という人がいた。
(積水ハウス/SHAWOOD)
これからの老人はでかい。
(積水ハウス)
老人が住みやすい家は、
人間が住みやすい。
(積水ハウス)
人は、
書くことと、消すことで、
書いている。
(トンボ鉛筆)
読んでいる人は戦えない。
(集英社)
受験のいいところは、
ひとりで生きているんじゃないと、
知ることかもしれない。
(河合塾)
他人をからかうのは好きなのに、
自分がからかわれるとすぐ怒る人が
私はさびしい。
(セゾン生命保険/エバーグリーン)
仕事の約束は誰でも守る。
遊びの約束をすぐ破ってしまう人が
私はさびしい。
(セゾン生命保険/ユーフレックス)
仕事に追われ、生活に疲れる。
日本では大人の話です。
(日本フォスター・プラン協会)
おとなから幸せになろう。
(長谷工コーポレーション/ブライトンホテル)
家族 編
父は、君が好きです。
ただ、それだけです。
(MIKI HOUSE)
ただそれだけで、しっかり育てる。
ただそれだけで、いろいろ教える。
ただそれだけで、ちゃんと叱る。
ただそれだけで、たくさん愛する。
見返りなんて必要ない。ただ好きだから。
父親の深い愛情をあらわしたコピーです。
しびれます。
父は1日に1度だけ甘い時間を残した。
(明治屋/Myジャム)
私は父です。
私には健康が必要です。
(ゼリア新薬工業/ゼリアス)
お父さんに
さわりたい。
(中日新聞社/1979年国際児童年)
コミックを持って、
僕らは父親になった。
(小学館/ビッグコミックスピリッツ)
父を元気にしないと
ニッポンが心配だ。
(西武百貨店/父の日)
母がきれいだと
歳をとるのが、
こわくない。
(西武百貨店/母の日)
親は、半分しか育てられない。
(東京新聞)
おとなの中で
親がいちばん
かわいい。
(ラフォーレ原宿/ディアーキッズ)
子どもの心配はするのに、
自分の心配をする大人は少ない。
心配だ。
(セゾン生命保険/ユーフレックス)
転職しても、子は育つ。
(リクルート/週刊就職情報)
土地 編
人の心が、
年の初めに届く国。
(日本郵政)
『心を伝えるコミュニケーションツール』として、年賀状をコピーでブランディング。
「皆さまの心がこもった年賀状を、私たちの手でお届けすることで、皆さまの想いを伝える、心を繋ぐお手伝いをさせていただきます」(日本郵政)
いまはLINEがメインかもしれませんが、それでも同様のことが言えますね。
日本ってステキな国だなぁと、心があたたかくなるコピーです。
暑い国は、明るい国でなくっちゃ。
(そごう・西武百貨店/そごう夏市)
気がつけば、
大きなテレビをひとりで見る国になっていた。
(ヒルデモア)
買い物にも行けない東京の忙しさを
ふるさとで実況中継してほしい。
(西武百貨店/駆けこみギフトセンター)
東京でいちばん新鮮なものは、
ニュースです。
(東京新聞)
東京でいちばん多い生き物は、
野次馬である。
(東京新聞)
都心さえあこがれる街。二子玉川
(二子玉川ライズ)
ブランドショップが並ぶ街は他にもある。
しかし、そこに川はない。
(二子玉川ライズ)
商品 編
ロケットも、
文房具から生まれた。
(トンボ鉛筆)
見上げるほど大きくて、複雑なパーツがたくさんあるロケット。
そのスタートは、頭の中で生まれたイメージを、紙に書き出すことからはじまります。
夢を叶える1歩目は、自分とエンピツ。
文房具の価値を再定義した、すごいコピーです。
こちらの本では、岩崎俊一さん自身が、このコピーを解説されています。
とても勉強になりました。赤線だらけです。
ベストセラーより、ロングセラーを。
(明治屋/Myジャム)
ロレックスとは、
妻より長い。
(A・M・I /ロレックス)
髪は弱いものと考える。
(資生堂/新スーパーマイルドシャンプー)
つくりたくて、つくりたくて、つくりました。
(資生堂/ミネラルウォーターのシャンプー)
カメラは手に聞いて、つくれ。
(ソニー)
ミゼットを飼おう。
(ダイハツ/ミゼットⅡ)
毎日ビールを飲んだ。
それでも渇いていた。
(キリンビール/ビール)
塩を
甘くみては
いけない。
(そごう・西武百貨店)
千年生きて、
贈り物になりました。
(そごう・西武百貨店/お味噌を贈る西武のお歳暮)
旅に出る服は、写真に残る服だ。
(西武百貨店/トラベルワンダーランド)
今年の服を着ていても
顔が去年のままですよ。
(西武百貨店/スタイリッシュライフカレッジ参加者募集)
服を買いに行く服がない。
(ミレニアムリテイリング、そごう・西武百貨店/そごう夏市)
服は、
太りはじめを
教えてくれる。
(そごう・西武百貨店/そごう冬市)
服は、肌より先に抱きしめられる。
(西武百貨店)
年賀状は、贈り物だと思う。
(郵便事業/年賀はがき)
企業 編
やがて、いのちに変わるもの。
(ミツカングループ本社)
泣いたり、笑ったり、恋したり、育てたり……
生きていれば、いろんな1日があります。
その1日1日をつくっているのが『食べもの』。
つまり、食べものは『いのちのもと』なんですね。
食物の大切さを教えてくれる、なんとも神秘的なコピーです。
ミツカンのHPには、より詳しいグループビジョンが載っています。
またこちらは、このコピーの制作秘話や、ほかの企業広告について語るインタビュー記事です。
とても勉強になりますので、興味のある方は、どうぞ。
今日を愛する。
(LION)
ひとりを愛せる日本へ。
(日本郵政グループ)
幸福は、
ごはんが炊かれる場所にある。
(プレナス/ほっともっと)
がんばる人の、
がんばらない時間。
(ドトールコーヒー)
かじっていたのは、夢でした。
(明治製菓/ミルクチョコレート発売70周年広告)
きたえた翼は、強い。
(全日本空輸)
トンボが動いている。
人が、何かを生み出している。
(トンボ鉛筆)
微笑むプレミアム。
(レクサス)
さ、世代コータイ。
(KDDI)
お味噌汁は、からだと生きていく。
(マルコメ)
木と生きる幸福。
(住友林業)
人間という肩書で、生きようと思う。
(Club willbe)
まとめ:幸福になること
いかがでしたでしょうか。
読んでいると、なんだか幸せになってくるコピーが、たくさんありましたね。
岩崎俊一さんの著書『幸福を見つめるコピー』には、このようなことが書いてあります。
幸福になること。人は、まちがいなく、その北極星をめざしている。(中略)コピーも例外ではない、といばるつもりはないが、少なくともここをめざして書かなければいけないと、ずっと思ってきた。それは、企業は何のために存在するのか、商品は何のために生まれてくるのかを考えれば自明である。
——『幸福を見つめるコピー』序文より引用
企業も商品も、そしてコピーも、人の役に立つために、人を幸せにするために、生まれてるんですね。
コピーを書く際には、「読んでくれる人は幸せになるかなぁ」と考えて書くと、人の心に届くあたたかいコピーが、できあがるかもしれません。
すこしずつ意識して、コツコツ取り組んでいきましょう!