コラム

【コピー勉強法】コピー年鑑2009からマイベストコピー10を選んでみた

2023年8月9日

 

こんにちは、カイです。

この記事では『コピー年鑑2009』から選出したマイベストコピーを10本ご紹介します。

カイ

 

というのも、コピーライターである黒澤晃さんの著書『これから、絶対、コピーライター』には、このようなことが書かれています。

 

さて、いちばん始めにやっていただくのは、コピーの名作を知ることです。ずばり、おすすめはTCCコピー年鑑の閲覧です。

(中略)

大切なのは、ただ閲覧するだけではなく「マイベスト10」を選んで、書き写しておくことです。

(中略)

とても重要なファーストステップですので、省かずにやっていただきたいと思います。あとの成長が本当に違ってきます。

——『これから、絶対、コピーライター』より引用

 

第5回目は『コピー年鑑2009』で実施。

 

「今年は”あるあるコピー”というか、気持ちをよく言い当てたようなコピーが目立っていた」と審査員の福里真一さんがコメントされていました。

 

たしかに共感・納得するコピーが多かった気がします。時代によってコピーの主流も変わってくるんだなぁと。

 

そして今回もマイベスト10を選び、アウトプットも兼ねて記事にしましたので、興味のあるところからご覧いただけると嬉しいです。

 

01:どんなに不便な乗り物か笑いながら話している。

 

どんなに不便な乗り物か

笑いながら話している。

(レッドバロン/漆畑陽生、日野貴行)

 

ライダーさんには共感の嵐ではないでしょうか。

 

このコピーからは、バイクに対する愛情がしみじみと伝わってきます。

 

デメリット側の不便さをあえて最初に書くことで、ギャップを生み出すテクニック法。

 

「〜だから好き」よりも「〜だけど好き」のほうが、より一層愛の深さを表現している感じがしますよね。

 

ギャップ法は昔からよく使われているので、オススメです。

 

ぼくが大好きなコピーに「勝利より、たった三度の敗北を語りたくなる馬」というJRACMコピーがありますが、これもギャップ法ですね。超絶しびれます。

カイ

 

02:俺達は、とにかく厳しい縦社会!!

 

俺達は、

とにかく厳しい

縦社会!!

(別府市/左俊幸)

 

とにかく自由、まっすぐ本音、なんでもあり。

 

そのムチャクチャさが逆に斬新で、コピー界に新たな風を吹き込んだTVCMシリーズだと思います。

 

また、あえて現役の選手たちが出演しているのもポイントかと。

 

親近感が湧いて応援したくなるし、選手達も知人や家族に自慢できるし、それ自体が広告になってるし、費用も抑えられるし。

 

自由の中に新しさや効率化があるんだなぁと教えてくれたシリーズです。

 

このコピーに関して言えば、競輪縦に並ぶ競技過酷な縦競技≒厳しい縦社会、という発見もありますね。

カイ

 

03:その仕事、缶コーヒー、うまい?

 

その仕事、

缶コーヒー、

うまい?

(サントリー/照井晶博)

 

インタラクティブのあるコピーは良いコピーだと教わりました。

 

問いかけることで、読み手の心にすこしでも長く留まれるからです。

 

「自分の仕事はどうだろう?」と無意識に考えてしまいますね。

 

またコーヒー×仕事の親和性があるからこそ効果的なコピーだなぁと。

 

これが生ビールだと印象がガラリと変わってきます。

 

このコピーを見て、コピーには相性も大切なんだと学びました。

 

現代ではSNSが発展しすぎて、一方的に情報を発信しても日常的にスルーされます。そんな時代に有効的なテクニックのひとつですね。

カイ

 

04:完食は、一番身近なエコロジー。

 

完食は、

一番身近な

エコロジー。

(日清食品/熊谷正晴、金昭淵)

 

現在、フードロスは世界的に深刻な問題となっています。

 

2021年に発表されたWWF報告書では、年間25億トンの食べ物が世界で廃棄されているそうです。

 

そんな中、一人ひとりができる取り組みは何か。そう、完食です。

 

このコピーがすごいのは、『完食=エコロジー』と発見・再定義したことだと思います。

 

そこに「一番身近」という修飾語をつけてハードルを低くし、読み手の心にスッと入りやすい七五調で構成。

 

このコピーひとつにいろんなテクニックが詰まっていて、とても勉強になります。

 

大きな取り組みではなく、毎日コツコツできる小さなことをアプローチできるほうが、効果が大きそうだなぁと感じました。

カイ

 

05:人間には、指先という最先端技術がある。

 

人間には、指先という

最先端技術がある。

(フランドル/岩崎俊一、岡本欣也、米田恵子)

 

大好きな岩崎俊一さんのコピーと、今回も出会えました。

 

「創造ではなく想像」「発明ではなく発見」がコピーライターの大事なポイント。

 

このキャッチコピーも『指先=最先端技術』という発見があり、ハッと気付かされました。

 

そしてこの温もりのあるボディコピー。

 

流れるような文章の運び方、手を引いて案内するような丁寧な説明、もちろん商品や企業の説明も忘れずに。

 

コピーに対する真摯さをいつも勉強させていただいています。

 

ぼくもボディコピーを書くときは、岩崎俊一さんの温度感をイメージして書くようにしています。まだまだ程遠いですが、コツコツ習得していきたいですね。

カイ

 

06:香りの届くところまでが、私たちのお店です。

 

香りの届くところまでが、

私たちのお店です。

(ディーポット/田村友洋)

 

道を歩いているとふと美味しそうな匂いがして、その元をたどってみると焼きたてのパンやお菓子が並んでいる。

 

つまり香りは広告であり、その香りが届く範囲もお店のテリトリーなんだ、という発見があります。

 

商品のワッフルとも相性がいいコピーで、ポスターからも良い香りがしてくるようです。

 

余談ですが、ぼくは一時期五感のコピーを調べたことがあるんですけど、嗅覚のコピーってほぼありませんでした。

 

そういう意味でも、とても良くできた唯一無二のコピーなんじゃないかなぁと。特許モノです。

 

汎用性のあるコピーは早い者勝ちと言いますが、このコピーはまさしくそうでしょう。

カイ

 

07:「エ」がたくさんあります。

 

「エ」がたくさんあります。

(サントリー/横澤宏一郎)

 

『大袈裟に言う・何度もくり返す』というのも、コピーテクニックのひとつです。

 

とくにTVやラジオでは強いインパクトを与えられるので、よく使用されています。

 

加えて「エー」と「絵」が同音語という発見と、バスの運転手さんがよく「エー」と言っているという発見があるコピーです。

 

先生や政治家とかも言ってるイメージがありますが、美術館との相性を考えるとバスの運転手さんが正解だなぁと。

 

自然な日常→「え、どうした?」っていう不信感→美術館への着地がお見事です。

 

日頃からまわりをよく観察していることがわかるコピーです。コピーライターにとって観察眼は大事。

カイ

 

08:ただ今、犠牲者を募集しております。

 

ただ今、犠牲者を募集しております。

(ピースヒロシマ実行委員会/木戸寛行)

 

求人広告の要領で犠牲者を募っている”代入法”。

 

核兵器にしゃべらせる”擬人化”。

 

「全人類60億人が絶滅しても、940億人分の核兵器が残る。」という”事実”。

 

この3つの合わせ技で、受け手に強烈なインパクトを与えているCMです。

 

白文字に黒背景というシンプルなデザインも、より不気味さを演出しています。

 

去年から始まったシリーズで、コピー年鑑2008ではTCC賞を受賞されていました。

 

広島原爆・核兵器問題は、日本人にとって絶対に忘れてはならない歴史ですね。

カイ

 

09:ここで会ったが、15000万年目。

 

ここで会ったが、1億5000万年目。

(国立化学博物館/坂本陽児)

 

「1億5000年前の恐竜に会える」だと、ただの説明なのでフツーにスルーされます。

 

そこで「ここで会ったが、100年目」というよく聞くフレーズをもじって大袈裟に言うことで、とてもキャッチ力の強いコピーへと進化。

 

「たしかにそうだ。うまいこと言うなぁ」と納得し、エンターテイメントまで感じるようになりました。これが表現。

 

やはり聞き慣れたセリフや慣用句・ことわざのもじりは、認知度が高い分スッと入ってきやすいなぁと。

 

もちろんウソはNGですし、度が過ぎると一気に冷めてしまうので、そのバランスがプロの技ですね。

 

ポスターの恐竜の恐ろしさとも相まって、より効果を発揮していますね。

カイ

 

10:イスのないスタンディングオベーションは、ただの拍手だ。

 

イスのない

スタンディング

オベーションは、

ただの拍手だ。

(コトブキ/小室市太郎)

 

スタンディングオベーション、それは観客が感動のあまりに自然と立ち上がって出演者に送る最高の拍手。

 

ということは、観客はまず座ってないといけなくて、それにはイスが必要不可欠。

 

「商品があることでモノゴトの価値を上げている」ということを発見しているコピーです。

 

よく商品を理解して、周辺の言葉をたくさん調べて、いろんな視点から見て、やっと出会えた発見なんだと思います。

 

「無いと感動もままならない。」という強気なタグラインもしびれますね。

カイ

 

まとめ:《視聴者に愛される要素》とは

いかがでしたでしょうか。

 

今回も発見・共感・納得のあるコピーをたくさん見れて、とても勉強になりました。

 

ただ審査委員長の仲畑貴志さんは、冒頭のページでこんなことを述べられています。

 

企業が守りに入った。その影響が、如実に出た。商品説明だけをタレントに語らせるという手法である。広告表現が、商品機能や企業イメージに付加する、思いやりとか、ひょうきんさとか、誠実さとか、お茶目とか、興味深さとか、気さくさとか、チャーミングとか…、ようするに視聴者に愛される要素をまったく省いた広告ばかりになってしまった。

人間的感情を全く見せないセールスマンから、買うか?ただ商品特性を、立板に水でしゃべる売り子に立ち止まるか?

がまの油売りでも、バナナのたたき売りでも、あれだけサービスしているではないか。

受賞作には、表現サービスがあった。

(審査委員長 仲畑貴志)

——『コピー年鑑2009』より引用

 

当時はもちろん、現在でもものすごく大切な心構えだと奮えました。

 

《視聴者に愛される要素》、これを常に忘れないように、これからもコピーを書いていこうと思います。

 

コピー年鑑には受賞作だけじゃなくて、審査員やコピーライターのコメントもたくさん載っているので、新しい知見を得たい方にもオススメですよ。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ぜひあなたも、あなた自身のベストコピー10を選んでみてください!

カイ

 

 

 

 

 

 

-コラム
-,

© 2024 kai story Powered by AFFINGER5